小籠庖(ショーロンポウ)ってご存知ですか?中華の点心の一つで、具と一緒にスープを薄い皮で包み込んだものです。
私がショーロンポウと出会ったのは15年前の台北でのこと。当時編み物の講師として台湾で講座を指導しており、現地には家族付き合いする親しい人たちが何人かいたので、仕事以外でもよく台湾へ出かけていました。台湾へ行ったら必ず食べて帰りたいものがこのショーロンポウです。1993年にニューヨークタイムス紙で「世界の10大レストラン」に選ばれた味として当時評判になっていたのが、
「鼎泰豐Din Tai Fung(ディンタイフォン)」 。 |
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今でこそきれいなビルに立て替えられていますが、当時は狭い階段を上がっていく庶民的な食堂という感じでした。連れて行ってくれた台湾の友人が注文して出てきたのは、大きな蒸篭(せいろ)にたくさん入った、一口サイズの小さな肉まんのような点心。
「ともかく熱いから気をつけて食べて。中からスープが飛び出してくるからこぼさないように。」と言われて恐る恐る口に入れたのですが、その熱いのなんのって・・・・ 猫舌の私には飛び上がるような熱さでした。冷めてから食べればよいとわかってはいるのですが、食いしん坊には待ちきれないし、また冷めたら美味しくないので、毎回ついつい熱いうちに食べては口の中の皮が剥けてしまいます。 |
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あの広瀬光治さんも、忠告されていたにも関わらず、真っ白いフリルのついたシャツに思いっきりショーロンポウのスープをこぼしていましたっけ。 |
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数年たって日本の高島屋に「鼎泰豐」が支店を出すことになり、オープン早々に行ってみました。一緒に行った人たちは美味しかったと言っていましたが、台北の店の味を知っている私には満足できませんでした。それでも評判となり、今では東京都内はもちろんのこと、仙台、名古屋、大阪、京都、熊本にも支店ができています。今でもたまに台北へ行くと寄ってみるのですが、やっぱり本店は違います。台北の「鼎泰豐」自体も20年前の職人さんの技を受け継ぐのはなかなか大変なようで、当時の味と同じとは言いがたいのですが残念です。 |
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私の自宅は横浜・山下公園沿いにあり、中華街のすぐ近くです。関帝廟という中国式の大きなお寺の前の路地を入ったところに数年前小さなお店がオープンしました。
お店の名前は「上海豫園」 |
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第2回中国料理世界大会点心部門で優勝した朱愛萍(しゅうあいぴん)さんの得意なものがショーロンポウだと聞いて食べてみたら、あの懐かしい「鼎泰豐」のショーロンポウとよく似ていました。他にもショーロンポウ自慢のお店が何件かあるのですが、私のこだわりは皮の薄さとスープの量と熱さです。朱さんの作るショーロンポウはまさに私が夢にまで見たあの味でした。
まず食べていただきたいのがお肉のショーロンポウの「鮮肉小籠庖」。お値段もお手頃でショーロンポウの美味しさが一番よくわかります。秋になって上海ガニの季節になると蟹ミソが入ったカニ味噌小籠包もお勧めです。 |
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ここでショーロンポウの食べ方を伝授しておきましょう。
まず、片手にレンゲを用意して、お箸でショーロンポウの皮を破らないようにそっとレンゲへ取り分けます。皮を絞ったてっぺんは厚くなっているのでそのやや下を少し噛み切って風穴を開けます。猫舌の方はここで数秒待ってください。中のスープを少しすすってから具と皮を食べます。中のスープは熱々ですからくれぐれもヤケドをしないように気をつけてくださいね。
二つめからはお好みで生姜の千切りやお醤油をつけてもよいでしょう。
このお店を任されているのが社長のお嬢さんのミリンさん。美人で面倒見がよいので注文に迷ったら相談してみてください。(実は彼女は大のビーズファンです。)
ショーロンポウ以外で私が大好きなのが、ふかひれが一つ丸ごと入っているのに他ではあり得ない安さの「ふかひれラーメン」。
そして控えめな甘さが魅力のナツメ餡の「あんまん」。
お手軽なランチメニューもあるので、中華街へいらっしゃる方はぜひ寄ってみてください。 |