Gakusyu forum With Me ― 私と楽習フォーラム ― 

好きなことを続けた経験があるから、
どんなアクシデントも乗り越えられる

中井恵子先生(FSKアクセサリークラフト教室)

神戸、大阪、奈良など関西を中心に活動する中井先生は、講師業28年目を迎える大ベテラン。
ソウタシエジュエリー、ビジューソウタシエの教材デザイン、講座開発にも携わっています。
講師として、デザイナーとしての試行錯誤を糧に、「人が好き」「作ることが好き」だから続けてこられたと語ります。

※写真・情報は2019年取材時点のものです

 

“先生”というハードルを 自分で上げない

―中井先生がお教室を初めて開いた時の生徒数は3名。今では総勢100名を超えるそうですね。

1回のお教室は最大20名になることもあり、アシスタント4名と一緒にクラスを運営しています。人数が多くても、生徒さんには必ず話しかけるようにしています。お声がけって大事よね。
でも生徒さんは必死で作っているから私ばかりしゃべって、皆、聞きながら肩で笑ってます。「先生、黙っててくれる?シーッ」って生徒さんに言われるの(笑)。

生徒さん全員が違う作品を作っているから、教える側はすべてのスキル、ノウハウが頭に入っています。そのためには研修会で真剣にしっかり習います。作ることに対する努力は絶対に抜けてはダメ。でも一生懸命習っても、間違って教えてしまったら、〝ごめん”って素直に謝るしかないじゃない。

最初の頃は、全部覚えて間違わずに言わなきゃならないと思っていました。間違うのが怖くなるのは、先生というハードルを自分で上げてしまって、ちょっと上からの目線で生徒さんを見ようとするからで、それは違うと思うんです。

 

すべてを完璧にしなくてもいい

―中井先生が謝った時の生徒さんの反応はどうですか。

「しょうがないな~」って、やり直してくれます。教室を28年もやっていると、いろいろな方とお会いします。教室に入って1か月の方もいれば、20年以上通ってくれる方もいて、いい加減なこと言ったら相手に分かりますよね。だから間違っていたら正直に。口に出して謝るし、ごまかさない。


―生徒さんが笑ってやり直してくれるのも、中井先生のお人柄と、長年の信頼関係が築けているからですね。ご活動の中で転機となったことは何でしょうか。

実は50代半ばくらいまで胃潰瘍がすごかったんですよ。教室を何十年やってても、生徒さんが辞めると聞くと胃が痛くなっていました。何で辞めるんだろう、私が悪かったんだろうかって落ち込むの。楽習フォーラムと仕事をするようになっても、講座で登壇する前日は眠れなかったり。だけど、ある日から自分でハードルを上げることはないと思ったんです。

それまでは教室業も生徒さんに対しても、完璧にしようと思っていたのかな。でも自分も楽しんでやらないと、生徒さんにも楽しい想いが伝わらないだろうなと。教室が本当に楽しくなかったら、生徒さんは黙って帰るからね。「楽しかったです」と言って帰ってもらえたら、ほっとします。

 

自分の器を超えて新しいキットを作る

―講師になる前は、セレクトショップを経営されていたそうですね。

店舗販売と並行して、トレーナーやスニーカーに刺繍したりラインストーンで飾り付けてアレンジしては、それを他の店舗に卸しもしていました。ビーズアクセサリーの卸しを始めた頃は、丸ペンチさえなかった時代。Tピンの色もゴールドとシルバーしかなくて、物がなければメッキ工場を電話帳で片っ端から探して生産交渉をしていました。


―その頃のご経験が、ソウタシエジュエリーなど現在の講座開発に活かされていますか。

ソウタシエはもともと私も好きで、楽習フォーラムよりも前にオリジナルキットを作っていて、ソウタシエコードのメーカーさんと信頼関係を築いていました。
特にソウタシエは作り方の自由度が高く、日本では書籍さえなかったので、裏面の処理の仕方や縫い方などのルールもイチから決めました。基本が確立されると、テクニックも応用しやすくなりますよね。

楽習フォーラムのキットや講座開発の仕事は、自分の器を超えることが求められると感じます。自分の教室だけのキットなら50個くらい用意できればいいから自由に作れますが、何千と会員さんのいる楽習フォーラムではそうもいかない。
材料が安定して供給できなくてはならないし、テクニックも内容のある濃いものを入れなくてはならない。そういった制限も多くて、完成までのハードルがとても高いですね。

 
 

作ることと人が好きだから継続できた

―オリジナルのキットと、楽習フォーラムのキットは、お教室でどのように使い分けていますか。

オリジナルのキットは複数の技術を組み合わせているから、基礎がきちんとできている方のほうがきれいに作れます。たまに「初心者だけどこれを作りたい!」と、上級者向けのオリジナルキットにチャレンジする方もいますが、途中で「きれいに作るには基礎が必要だ」と気づかれるんです。

楽習フォーラムのキットは基礎を習うのに最適だと思います。レシピや教科書の意図を読み取る力も養われるので他社のレシピも読めるようになります。また、複数のテクニックもできるようになると、それぞれの技法を組み合わせたオリジナル作品も作れるようになりますよね。


―中井先生は、一貫して“作ること”を継続されていますね。

継続は力なり。シンプルに、作ることが好きで、人も好き。好きだから継続できるし、継続は信頼にもつながっていく。家族だって、好きなことを一生懸命楽しそうにやっているのを見たら怒らない。家庭が安定していて、周りのスタッフやブレーンも、何かが欠けたらバランスが崩れてできなくなるから、皆に感謝だよね。

周りの人も、私から学べる何かがあるから一緒にいるのであって、マイナスだと思ったら離れるでしょ。そう思われないように自分を磨いていくしかないと思うんです。常に勉強して情報を集めて、いろんな人とお話すると話した分だけ自分にもプラスになる。
お教室を始めた30代の頃と今の自分はあまり変わってないけれど、経験を積んで年齢も重ねたら度胸ももっとつきました。どんなアクシデントが起こっても物怖じしません。

 

Column

 

中井先生のお教室

異国情緒溢れる神戸市のメインエリアにある中井先生のお教室。「新しい作品を作る時は教えることを考えていないんです。自分が欲しいなと思うものを作るし、直感で気になったパーツを使います。でも完成させる前に、必ず周りの人に見せて意見をもらいます。自信がないから」と中井先生。感性で作りながらもニーズを探り、客観的にデザインを分析します。

Information

 
  • ◆ 教室名

    FSK アクセサリークラフト教室

  • ◆ 教室の場所

    神戸市三宮(国際会館)・神戸市中央区京町・西宮(NHK文化サロン)/大阪市東住吉区(平野教室)、大阪市阿倍野区・天王寺区上本町(近鉄文化サロン)/奈良市西大寺・奈良県橿原市(近鉄文化サロン)

  • ◆ MAIL

    f.s.kdummy-txt@aa.cyberhome.ne.jp

  • ◆ TEL

    090-5066-0607


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