Gakusyu forum With Me ― 私と楽習フォーラム ― 

近くにビーズ専門店がない地域。
その弱点が教室運営では強みになる

開発真優美先生(beads studio true-grace)

富山県を拠点に講師活動を行い、2021年度優秀指導者賞では第1位を受賞された開発先生。コスチュームジュエリーアワードなどのコンテストにも意欲的にチャレンジし、卓越した作品は様々な賞を受賞されています。その裏側には、生徒さんに愛される教室作りの工夫と作品作りに対する探求心がありました。

優秀指導者賞…認定講座の取り組みによる認定者輩出数の実績

 

体育会系バレーボールの道から転向。ビーズの才能が開花

―講師になられたきっかけは何でしょうか。

もともと体育会系でバレーボールを40年続けてきて、子どもの頃は手芸なんて一切やってなかったんです。でもドクターストップがかかってしまいバレーボールを断念し、代わりに何かできることを探していた時、本屋でビーズ雑誌を手に取って作ってみた第一作がビーズのストラップでした。
住宅メーカーに勤めていた友人がそのストラップを見て、住宅メーカーの中のレンタルルームで教室をやってくれないかと誘ってくれました。当初は月に1回か2回、簡単なものを作るだけの講師と呼べるほどのものでもなかったのですが、「どうせ教えるのなら、きちんとした知識を持って教えたいなぁ」と思い、楽習フォーラムの通信で資格を取得。

ビーズの本もかなり読みましたし、私なりにもっと作りやすくなる方法を研究していました。新しいことを考えるのも好きで、研究することも楽しかったんじゃないかと思います。バレーボールもそうでしたが、一つのことをやろうと思ったら、集中するタイプのようです。


―講師活動の幅はどのように広げられたのでしょうか。

楽習フォーラムの資格を2004年に取得し、約1年後にたまたま応募したコンテストでテグス部門のイエローリボン賞をいただきました。それを地元の新聞社の方が見てくださったようで新聞の記事に載って、新聞社と百貨店のカルチャーセンターから講師のお誘いをいただいたんです。
まずは体験会を開催すると、新聞社のカルチャーには12名、百貨店のカルチャーには7~8名が参加し、全員入会してくださいました。富山県ではまだビーズの教室が知られていなかったこともあるかもしれません。体験会の作品を考えたり、レシピを書いたり、どうやって教えるか考えることも楽しい時間でした。


―資格取得から約1年でコンテストに入賞したり、レシピを考えるセンスをどうやって養われたのでしょうか。

当時はテグスしかしていなかったのですが、テグスは考えようによっては単純で、一種のパズルみたいなものだと思います。私、パズルとかひらめき系のクイズも得意なので、それも役に立っているのかもしれません。
また母親が洋裁や和裁、機械編み、手編みをやる人で、子どもの頃の私の洋服はすべて母親の手作り。私はバレーボール一筋で何も作れなかったので、小学校の家庭科で編み物の宿題が出た時、私が編んだ宿題が、翌朝には母が作り直してくれていたこともありました。手作りが好きな母親を見ていたので、知らず知らずのうちに体に染みついていたのかもしれません。

 
 

生徒さんの反応でどこまでやれたか分かる

―楽習フォーラムで資格を取得し講師活動を始められてから、変化したと思われることは何でしょうか。

県内外のいろいろな方とお会いしたり、新しいことに遭遇したり、外へ目を向けたり、出かける機会が増えたのが1番の変化です。
私の教室は基本的に、楽習フォーラムのキットだけを使ってレッスンを行っており、楽習フォーラムをフル活用しています。 途中から専任※1にしていただいて、本部研修会※2に参加するようになりました。研修会で出会う先生方は、自分と違う方法でお教室をやっていらっしゃる方もいて、そのお話を聞いて視野が広がりました。

また、一つの技術に固執していたら作品の幅は広がらないと分かり、いろいろな技術を習得したいと思うようになりました。研修会で新しい作品を教えてもらうたびに、パーツの違う使い方を考えたりすることもあり、やっぱり分析したり応用を考えるのが好きなんだと思います。

※1…専任:一定の実績のある講師を楽習フォーラムが選定し、楽習フォーラム本部と専任契約をしている講師のこと
※2…本部研修会:専任講師を対象に定期的に本部で開催される研修会



―講師の仕事を続けて良かったと思われるのはどのような時でしょうか。

生徒さんに「教室が生活の中の至福の時間だ」とおっしゃっていただけることや、制作された作品を「お嫁さんやお嬢様が心待ちにしている」と嬉しそうにお話してくださる時は、心の中で小躍りしてしまうほど喜んでいます。
私が講師としてどこまでやれたかは、生徒さんの反応でしか測れないので、評価がダイレクトに返ってくるのはすごく嬉しいです。

 

分からないことがあったらすぐに聞ける教室にしたい

―講師の仕事で大変だったことは何でしょうか。

今改めて思えば講師の仕事の中で大変だったことはあまりないように思います。夫や友達、生徒さんが陰ながら助けてくれているのか、コロナ禍でも大雪でも苦しいと思ったことはあまりありません。
ただ富山という土地柄、特に冬の天候には左右されます。お教室のある日に大雪が降ると朝から大変です。早朝4時から雪かきをして、雪に埋もれていた自動車を掘り起こして朝7時に出発。道路も除雪される前の雪道なので、ものすごいガタガタで運転も気が抜けず、通常1時間で到着する道が3時間以上かかってしまい、着くと精魂尽き果てた状態(笑)。お教室を楽しみに来られる方を思うと、会場が遠いからって私の都合でお休みできないですよね。でも体力的にも辛くなってきたので、今は遠方の教室は冬期間リアルレッスンをお休みさせていただき、ご希望の生徒さんにはZoomでのレッスンに切り替えています。


―コロナ禍のご活動はどうされていたのでしょうか。

コロナが流行し始めた2020年の頃、1月から3月まで入院していたんですよ。4月から再開しようと思ったら最初の緊急事態宣言が出て、外部の施設も6月までお休みになって。仕方なくその半年間はお休みにしたのですが、7月にお教室を再開すると、誰一人欠けることなく皆さん普通の感じで出席してくださったんですよ。これまでずっと続いていたかのような感じで。


―生徒の皆さんも心待ちにされていたのですね。

もちろん半年間のお休み中もそれなりの努力はしました。生徒さんとグループLINEを作っているのですが、そこから情報発信を続けていたので、半年間まったく音信不通というわけではなくて、生徒さんたちとコミュニケーションをとっていました。


―LINEではどのような情報を発信されているのでしょうか。

優待で資格取得できるアソシエイツを細かく紹介して、同時に各生徒さんとの個別LINEで、その方が該当する優待等をお知らせしています。新しい講座のお知らせや、研修会で作ったばかりの新作は、改めて自分でスタイリングし撮影して送ったりしています。
年配の方で、スマートフォンをお持ちではない方には携帯電話のメールにお送りしています。95歳のおばあちゃんもいらっしゃって、その方には直接ご自宅にお電話してお知らせしていました。
▲お教室最年長の生徒さん(95歳)へ認定証授与

―先生からこまめにご連絡を入れていたのですね。

私からも連絡しますし、生徒さんからも作品が完成したら「できました」ってメールも写真付きでいただきますし、分からないこともメールなどで質問をいただいています。
教室に関係ないことで、「今日はうちの子どもが誕生日です」ってお子様とケーキの写真を送ってくれたり、「今日はお祭りでした」ってお神輿の写真を送ってくれたり。
生徒さんとはなるべくコミュニケーションとれたらいいなと。分からないところがあっても、すぐに分からないと言える教室がいいなと思っています。

 

生徒さん一人ひとりに 「カルテ」を作って進行状況を把握

―そのあたりが、指導者賞に入賞される秘密でしょうか。

習うだけで資格は取らないという方ももちろんいらっしゃいますよ。資格を取られる方は、県民気質も多少あるかなと。富山県とか石川県って勤勉で習い事が盛んな土地らしいんですよ。だからなのか、一つ資格を取ると「先生、次は何ですか」と聞かれる方が多いです。提供されるものに対してすごく丁寧にこなされる方が多いです。
私は、お一人おひとりにカルテを作っているのですが、どの講座をどの順番でやっていただくか計画を立てています。カルテは簡単な記録ですが、いつ何のキットを渡して、それがいつ終わって、次は何を作るか。その方が苦手そうなところなども書いています。
いつ頃までに講座課題が終われば優待に間に合うとか、少し間があくから他のキットを作ってもらえそう、ということも分かります。


―開発先生の教え方にも特徴があるそうですね。

A4サイズのホワイトボードとカラーのマジックをいつも持ち歩いて、大きく図を描いて説明しています。皆が間違えやすいところは、教科書と違う展開した図を描いて説明することもあります。
私はいつも生徒さんの正面に座って教えるんです。だからホワイトボードに字を書く時は、生徒さんから見て読みやすいよう、逆さ文字で書きます。「先生、逆さ文字上手ですね」ってよく言われます(笑)。マクラメも生徒さんから見た方向で結び方を説明するので、逆さまで結んでいくのに慣れました。

 

生徒さんの励みになるよう コンテストに挑戦し続ける

―開発先生は、これまで数々のコンテストでオリジナル作品が入賞されています。開発先生にとってコンテストはどのような位置づけなのでしょうか。

コンテストに参加する一番大きな理由は、図録に私の作品が載るのを母が見て、すごく喜んでくれたんですね。毎年図録を楽しみにしてくれるから続けていたのですが、母が亡くなっても続いています。

ものを作ると新しい発見があります。複数の技法の組み合わせ方とか、色合わせも思いがけず良い組み合わせになったり。コンテストの作品は、勉強の上でも普通の作品とは違う位置づけかなと思います。出品した作品を見るのを生徒さんたちも楽しみにしてくれて、「先生の入賞を友達に自慢してます」って言われることも。生徒さんの励みになるためにも、私はやめちゃいけないのかなと。

※図録:コンテスト入賞作品を掲載した作品図録


―コンテストで使用する材料はどのように選ばれているのでしょうか。

実は、富山県にはビーズ専門店がないんですよ。ネット通販でしかビーズを買えないし、パソコンだと色がよく分からないから、シードビーズなどは一応その前後の色番も買うので、うちはビーズの在庫がすごいです。

コンテスト用の作品を作る時は、デザインありきのこともありますが、在庫を減らすためにビーズありきのこともよくあるんです。もしかしたらビーズありきのほうがデザインしやすいのかもしれません。ビーズの選択肢が豊富ということは、大量の中からチョイスするから迷いますよね。自由が一番難しい。私は狭い選択肢でチョイスするので、そのほうが簡単かもしれません。

近くにビーズ専門店がないことは弱みだと思っていたのですが、教室運営をする上では、強みになると最近気づいたんです。都会だと、どこでも1日講習とかやっているじゃないですか。やりたいと思ったらすぐできる環境で、作りたい作品を習ったら1回きりで終わり。
でも富山県では、ビーズをやりたい、アクセサリーを作りたいと思ったら教室に行くしかないんですよ。ビーズ専門店がないことは、教室をするなら弱みじゃなくて強みになりますよね。


―今後の目標を教えていただけますか。

生徒さんに来ていただける限り、細々とでも教室を続けていくのが一番の目標です。多くは望まないので、体調の管理もして、細く長く教室を続けることですかね。

Column

 

開発先生の心に残るキット
スパイラルロープの模様編みロングネックレス ~ブルーフラッシュ~

初めて『デザイン:開発真優美』と記して楽習フォーラムからキット化された作品です。ビーズステッチのパーツのコンテストに応募し、『パーツを元に作品にしてみないか』と楽習フォーラムからお話をいただきました。自分の名前があるレシピの校正がメールで送られてきた時はすごく嬉しかったです。絶対に忘れられない作品です。ビギナーズラックだったのか、大勢の方にお買い求めいただき最も売れたキットの第2位で表彰もしていただきました。

Voice   生徒様の声

 

開発先生は、とても頼りがいのあるお姉さん的存在

(藤野かおり様/富山県)

15年前ビーズステッチの通信講座を受講していた頃、どうしても分からない箇所があったんです。そんな時あるイベントで開発先生が出展されてて、その分からなかった作品を展示していたのが運命的で。先生の技術も素晴らしくて感銘を受け、お教室に通うことを決めました。
開発先生の印象は、とても頼りがいのあるお姉さん的存在です。優しさの中にある、しっかりした部分とたまに叱咤してくれるところがお姉さんのよう。軸がブレず、技術や作家活動にも妥協しないところは特に尊敬します。

先生のお教室は、楽しい雰囲気もありながらも技術をしっかり教えてもらえるところが魅力です。私も教室を持って講師活動をしているので、教える時に困らないように注意点や間違いやすい所なども教えていただいてとても勉強になり、教室を行う際のフォローもして下さいます。

全員がそれぞれのペースで好きなものを学ぶので、他の生徒さんの作っている様子もわかり勉強になります。無理なく無駄なく学べるように生徒管理も徹底されていて、全教室の生徒グループLINEなどで情報の共有や教室の空き状況なども分かるようになっていますし、お休みしても別教室に振替可能なので助かっています。

先生もですが、生徒さんたちもとても素敵な人たちばかりです。コロナ禍になる前は、年1回、生徒さんが全員集まる機会を先生が企画されて、教室を超えての交流やお楽しみ抽選会もあるお食事会を行っていました。
皆とおしゃべりしながら作品を作る、私にとって息抜きができて、作ることに集中しながらそれを楽しめる。心にゆとりができる大切な時間です。
▲各教室合同の懇親会

Information

 
  • ◆ 教室名

    beads studio true-grace

  • ◆ 教室の場所

    富山県高岡市・富山市・射水市

  • ◆ MAIL

    true-gracedummy-txt@ypost.plala.or.jp

  • ◆ TEL

    090-1313-9574


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