Gakusyu forum With Me ― 私と楽習フォーラム ― 

習い事は社会とつながる手段。
お教室を地域コミュニティの場にしたい

金井正子先生(RoseHeart)

楽習フォーラムが開催している講座から様々な資格を取得され、お教室に展開している金井先生。習い事を通して社会とつながることができたというご自身の経験から、生徒さんにとってもコミュニティの場になって欲しいと、恩返しの想いを込めてお教室を開いています。

 

習い事が大好き!まずは興味を持ってやってみる

―金井先生は楽習フォーラムで多くの資格を取得いただいています。

自分自身が習い事が大好きなんですね。好奇心も旺盛だし、新しいものを見ると、とりあえず興味を持ってやってみる。ビーズスキルの資格を取得した約20年前は、ビーズブームで資格ブーム。教室で教えるのも商品を販売するのも、資格があって初めて堂々とできるような空気感がありました。

私も最初は資格を取らずにビーズを教えていたのですが、お客様に「資格はあるのですか?」と聞かれたり、カルチャーセンターなどの申請書類でも資格を書く枠があったし、自分のやり方が合っているか不安だったので、資格を取ることにしました。


―楽習フォーラムの資格ならではの特徴はどんなことでしょうか。

お教室を一人でやろうとすると、途中で教えるネタがなくなってしまうので、楽習フォーラムから研修会という形で定期的に新しいネタ(キット)を提供してくださるのは一番のメリットだと思います。自分一人でお教室をやっていたら続かなかったと思います。

あと、協会に属しているからこそ最新の情報も入ってきます。最近は生徒さんもネットで情報を得るのが早いので、「先生、こういうの作れますか?」と写真を見せられることも多いです。
私自身も習い事が好きだから、生徒さんも習い事が好きな方が多いのかな。作ってみたいものがあれば、とりあえず私に聞いてみるようですね。


―すると、金井先生はたいてい網羅して教えられているのですね。

そうですね(笑)。私もやっていない講座だと「他を紹介しましょうか」とお伝えしますが、生徒さんも「ちょっとやってみたい」という感じなんですよね。ビーズ教室に通っているけれど、例えばハーバリウムが流行っているから1回くらいやってみたい、バッグを1個くらい作ってみたいという箸休め的な。

 
 

習い事をすることが、世間とつながる方法だった

―講師の仕事を続ける中で良かったことは何でしょうか。

人とのつながりができたことです。私は結婚してから主人の転勤もあり、子どももいなかったから転勤先で誰ともつながりがなく、習い事をすることが世間とつながる手段でした。今みたいにSNSが普及していない時代でしたから、どこのスーパーがいいとかどこの病院がいいといった情報を得るにも、人と話せる集まりが情報源でした。


―そこからどのようにして講師になられたのでしょうか。

習い事を通して資格を取得し、最初はトールペイントの講師として手芸店で教えていたのですが、自分で作ったビーズアクセサリーを着けていたらお客様に作り方を教えて欲しいと言われ、次第にビーズがメインになりました。

当時、運が良いことにトールペイントブームの後にビーズブームがあって、カルチャーセンターや手芸店で教えていると、そこの店長さんが異動した先でも教えて欲しいと紹介していただいたりしました。そのような形でお教室は何となく始まった感じでしたが、生徒さんのご要望に応えながら育ててもらって、続けさせてもらっている感じです。


―講師を続けられてきて、お教室のニーズに変化はありましたか。

教室を始めた頃は、資格を取得して講師を目指す方や、趣味でも基礎からしっかり身に付けたいと通われる方が多かったように思います。

最近来られる若い方の傾向として多いのが、ワークショップのような形で手軽に楽しみたい、その2時間だけを楽しみたいという生徒さんが多いように感じます。あとは、モノを増やしたくないからか、本当に欲しいものだけ作られる方や、マルシェなどで販売したいから作れるようになりたいといった方です。 「ピン曲げだけ教えてください」など、ピンポイントでの指導のご希望をいただくこともありますが、そのような教え方はしていないので、その技法が入ったキットを作ってもらうようにしています。

作りたいものだけ作る短期の方もいらっしゃいますし、二十何年も来られる方もいらっしゃいます。大人数でワイワイ楽しみたい方、一人でじっくり習いたい方など、なるべく生徒さんのニーズに合わせた対応ができるように心がけています。
最近はお教室も、サロンやコミュニティの場としての役割も大きくなっている気がしています。

 
 

学んだことが教材開発に役立った

―金井先生のお教室はどのような雰囲気でしょうか。

お教室を20年以上続けているので、最初60代で来られた生徒さんも20年経てば80代。長い生徒さんも、あまり難しい作品はやらなくなりますが、皆さんおしゃべりをしに来られるのを楽しんでいるようです。

またレシピだけで作れるベテランさんも多くて、私が教えるのは本当に分からないポイントだけとか、針に糸を通したり、糸が絡まったらほどくとか、LINEの使い方教室になる日もあります(笑)。私が教えることがなくても何十年も来てくれているので、ありがたいです。ご年配の方たちが多いし、その方たちに支えられている感じですね。

あとは、講師業を始めて通われなくなった方でも、分からないことがあった時に突然来るような、実家的な要素もあるのかな。仕事を辞めて時間ができたから、介護が終わったから、お孫さんの夏休みの宿題のために「孫と一緒に作れるものはあるか」とか、久しぶりでも気軽に立ち寄ってもらえるようなお教室でありたいと思っています。

自分もそういう習い事に助けられてきたので、恩返しと言ったら図々しいかもしれないけど、今でも、自分にとっても生徒さんにとっても、地域のコミュニティのような社会とつながる場であって欲しいと思います。


―金井先生はマクラメジュエリー研究チームの一員として、教材開発にも携わっていただいています。マクラメの魅力をお伺いできますか。

ひもを結ぶという作業のみで、実用的なものから、芸術的なもの、大きなもの、繊細なものまで、様々な作品が作れるところです。
マクラメジュエリー講座の作品を初めて見た時は、金属アレルギーの方にも負担にならないし、着け心地も軽いし、ビーズが細かくて見えないという方に良さそうと思いました。

研究チームとして教材開発に関わらせていたたくと、それまで学んできた技術が役に立ちました。マクラメジュエリーの特徴である結びとビーズの組み合わせは、ビーズステッチなどで使われるデザインをマクラメに落とし込んで考えることもあります。
また作りながらビーズの穴が小さくてひもが通らないこともありますし、上から順に結んでいって、途中でデザインを直したいと思っても、また上から結び直さなくてはならないこともあります。

思い描いた形をどう技術的に作品に織り込んでいくかが難しいですが、そこはどの技法でも共通かもしれないですね。キットを作る側になって初めて、教材を作る大変さ、講座を立ち上げる大変さを実感していますが、お教室でキットを使用できるありがたさもより一層感じています。


▲マクラメジュエリー研究チームの瞳硝子先生(左)、金井正子先生(中央)、工藤すみ子先生(右)
 

Column

 

金井先生の心に残るキット
メタルパーツを使った巻き結びのブローチ~レガート~
(デザイン 金井正子、監修 瞳硝子)

瞳先生から「メタルパーツを使った作品にしたい」というオーダーがあったので、試作品を作る時はアルミパーツを金槌でトントンたたいて作りました。デザインは、今まで学んできた技術とマクラメが融合した作品になったと思います。メタルパーツの扱いはモードジュエリー、ダガービーズで花モチーフを作るのは、ビーズステッチやジュエリークロッシェでよく使われる技術です。これまでのマクラメジュエリーではそのようなビーズの使い方をしたことが少なく、周りの方に「すごいね」と言ってもらえたので、楽習フォーラムのマクラメジュエリーならではの作品になったかなと思いました。

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