Gakusyu forum With Me ― 私と楽習フォーラム ― 

「ビーズがビジネスになる」という状況を創り、
ビーズ業界を元気にしたい

梅沢知代先生(アヴァンセ)

楽習フォーラム優秀指導者賞、優秀教室経営賞で3年連続のダブル1位を受賞し、2018年度に初の殿堂入りを果たした梅沢知代先生。資格を取得した当初から「ビーズをビジネスにする」という志を持って活動をスタートされました。プロ講師、プロデザイナーを育て、ビーズ業界の発展に力を尽くすカリスマ講師です。

優秀指導者賞…認定講座の取り組みによる認定者輩出数の実績
優秀教室経営賞…教室運営における活動実績

 

普通の女性たちをプロ講師、プロデザイナーに育てる

―梅沢先生はビーズをビジネスとして成立させることに照準を合わせ、活動を続けていらっしゃいます。詳しくお伺いできますか。

もともと私は営業職やブライダルの司会業をしていましたが、出産・子育てをする立場になるとハードな営業職を続けることが難しくなりました。一方で、「手に職」でもある司会業は変わらず依頼をいただき、手に職をつける重要性を感じました。

手に職をつけ、子育てしながらできる仕事をと思い選んだのがビーズで、私にとって最良の選択でした。そのビーズの仕事をやりやすい状況にしてくださったのが、楽習フォーラムです。

私は素材を使って、世の中にないビジネスを作ることが好きです。新しいビーズビジネスを一緒にやる仲間を支援する組織として、プロ育成の専門スクール「アヴァンセ」を2002年に立ち上げました。アヴァンセの修了生である仲間たちはもともと主婦や会社員など普通の方々です。

教室業の仕事はサービス業だと思っています。お客様にとって心地良い時間を作り、楽しいを伝える。集客からお客様を決めるところまでは営業活動です。商品のデザインは楽習フォーラムやアヴァンセが行うので、商品を上手く使いこなし、お客様が喜ぶものをひたすら追求する。その努力こそが実を結ぶものであり、そこは普通の仕事と変わらないと思っています。普通に一生懸命に活動することで道を拓くことができるのが教室業の先生だと思います。

アヴァンセでは、手に職をつけてビーズ教室を開くプロの講師を育て、講師からプロのデザイナーへと育てる道筋を作り、企業とのタイアップなど活躍できる場を広げています。技能とセンスを磨きながら、ビジネスとしてきちんと利益を出せるようにする考え方も身につけてもらいます。


▲七五三、成人式、ブライダルなど晴れのシーンで使う髪飾り等をオーダーメイドで受注し、修了生であるデザイナーに発注するシステムをアヴァンセで作っている。写真作品は、桑島桂子先生が姪御様のために作られ、デザインは阪口淳子先生。
 

生徒一人ひとりの個性を引き出して活かしたい

―ご活動で大変だったことは何でしょうか。

大変だった時期は、活動を開始した頃とコロナ禍になった直後だけです。最初は右も左も分からないので、私も戸惑いました。ビーズ以外の教室業で上手くいっている先生方のお話を聞きに行き、それを真似して実践し続けました。

当時は、ビーズアクセサリーの作り方を学ぶためにお金を払う人はほとんどいなかったので、資格を取得した修了生が講師になっても「お金をいただけない」が一般的なお言葉でした。
ですが「お金をいただける教室を皆で創っていこう!」と働きかけ、何度も通ってもらえる教室作りを模索し、全国の先生方もお金をいただけるようにと努力され、3年くらいで道ができました。この時は熱意しかなかったと思います。その後は無我夢中で走り続けました。

コロナ禍では、3年前の緊急事態宣言で心が折れそうになりましたが、アヴァンセの皆がいてくれたので、すぐに立ち上がり「できることをやろう!」と動き出しました。仲間のおかげです。


―梅沢先生の「仲間」である生徒様たちには、いつもどのような想いで向き合っているのでしょうか。

先生と生徒ではなく、人として向き合いたいと思っています。人は育てるモノだと思っているので、見方を変えると、親と子のようなものですので、一人ひとりの良さを引き出せるような親になれたらと願っています。

デザインでは、個性を上手く引き出せたらと思っていて、その方の中にある得意なことを見つけたいです。また、接客が上手な方はその接客力を活かした集客を提案したり、ビーズ以外の得意なことを知ることで、一緒にできることを探したいと思っています。良さや得意なことをすぐに引き出せる場合もあれば、出会って10年後に分かる場合もあります。だからこそ、人は面白いなーと思います。


▲ ブライダル作品は、洋装・和装も衣装の画像を預かり、好みをヒアリングし発注内容をまとめ、デザイナーに依頼。写真作品は、安井暢恵先生の生徒様が娘様のために発注。デザインは阪口淳子先生。

 

若い方にも夢を持ってもらえるビーズビジネスに

―お教室を始められた約20年前と比較して、生徒様の傾向に変化などありますか。

20年前のプロ育成講座はアラフォーの方が多かったように思います。一般教室は50~60代の方が多かったかと…。そのまま継続された先生方の多くがアラシックスとなり、その生徒さんも70~80代とたがいに年齢を重ねました。ビーズ業界自体がそのまま高齢化を迎えている状況で、編み物など他の手芸と同じ道のりを辿っているように思います。

今後の課題は、若い方に夢を持っていただけるビジネスになるよう頑張りたいと思います。対応策として例えば小さめのビーズを使わなくても、繊細に見える作品作りに力を入れて、年齢のハードルを下げてきました。その結果、若い方の技量にも合っているように思います。


―楽習フォーラムのキットでお気に入りの作品はありますか。

限定することはできませんがあえて申し上げるとしたら、ビーズステッチのキットは感動することが多いです。特に最近の作品は、研究に研究を重ねてきた編み地を感じることが多く、凄いなーと思うことが多いです。テクニックが複合型なのと、マルチホールを使うことで、さらに面白い掛け合わせが生まれます。これからも面白い編み地が考えられると思うので、楽しみです!


―梅沢先生の今後の目標をお伺いできますか。

私は、もう一度ビーズ業界を元気にしたいです。ビーズがビジネスになるという状況を創りたいと活動してきました。それをさらにやり続けるだけです。教室業はある程度形ができたと思いますが、商品はまだ道半ばです。ハンドメイドだからこそできるビジネススタイルを作り上げた時に、若い方に魅力を感じていただける市場ができるように思います。楽習フォーラムにはその情報発信と、技能向上に役立つことを、世界中から集めていただきたいと思っております。

▲茨木市の古民家を改装したカフェとハンドメイドの複合施設のスペースを借り、「ビーズ作家5人衆とアヴァンセの仲間たち」と題して作品展とワークショップを開催(足立あす香先生、頭師貴子先生、手嶋咲良先生、松岡智子先生、光安昌子先生)。チラシは手嶋咲良先生が制作。

▲阪急うめだ本店で開催される「クチュールジュエリー展」には毎年出展。写真は2021年のもの。

▲尾崎美千代先生の作品。尾崎先生のソウタシエ作品が気に入られ、舞台用の衣装に合わせたオーダーもあった。

Voice   生徒様の声

 

教室業が、少しずつ仕事として成り立ってきました

(三宅裕子様/京都府)

私は最初ビーズスキル通信講座で資格を取得していましたが、実際の教え方が分からないことに気づき、アヴァンセへ通うことにしました。梅沢先生の第一印象はとてもパワフルな方で、成果を出すために最善の方法を常に考えておられ、効率的に仕事をされている印象です。梅沢先生から学べば何かできそうな気がしました。

アヴァンセでは短期間で技術を習得でき、お教室の運営ノウハウや作品デザインのヒント、集客方法や指導方法も教えていただけるので大変ありがたいです。
梅沢先生にアドバイスを受けながら自宅でお教室を始め、数年後には自宅近くのカルチャーセンターにも応募し、現在は合計5カ所の定期教室を中心に活動しています。

お教室で指導しているのは、楽習フォーラムの教材とアヴァンセのオリジナル教材です。カリキュラムに沿って基礎から学んでいただくと誰もが楽しくステップアップできるので、生徒さんの好みを考慮しながら教材を提案し、分かりやすく丁寧な指導を常に心がけています。
そのためアヴァンセで受講する時には、梅沢先生のオリジナル資料や補足説明をもとに、作り方だけでなく指導する際のポイントや間違いやすい箇所にも意識してレシピに赤字で書き込み、教える準備をしています。

私はオリジナルでデザインすることが苦手で、年1回アヴァンセが催事に出展する際にはオリジナル作品を作るようにしていますが、資材を決めるところから迷ってしまいます。それでもアヴァンセの商品勉強会でアドバイスを受け、数は少ないですが毎年商品を店頭に並べていただき販売できています。 また、苦手を克服するために2年に1度のコンテストにはなるべく応募するようにしています。コスチュームジュエリーアワード2020では、学んだことを活かして知恵を絞り工夫して制作したところ、マスクファッション部門で最優秀賞をいただいて、連絡を受けた時には鳥肌が立つほど驚き、嬉しい受賞でした。

子育てで忙しい時期に趣味の延長でスタートした教室業でしたが、少しずつ仕事として成り立ってきました。今は親の介護に時間を取られがちですが、教室業は定年のない仕事だと思いますので、アヴァンセの仲間たちとともに、生徒さんのために学び続けたいです。

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