Gakusyu forum With Me ― 私と楽習フォーラム ― 

地域のお祭りで作品を販売。70代になっても世界を広げることができる

田邉千賀代様

スワロフスキーのビーズとの出会いから、アクセサリー作りに興味を持ったという田邉さん。作品を販売したことをきっかけに人間関係が広がり、商売に対する意識が芽生え、オーダーの依頼も受けるなど、次々と新しい世界の扉が開いているそうです。

※右写真はビーズアートステッチ認定講座教材作品より

 

美しいビーズに惹かれて始めたアクセサリー作り

―楽習フォーラムに入会されたきっかけをお伺いできますか。

スワロフスキーのビーズを初めて見て、その美しさに惹かれて以来、様々な種類のスワロフスキーを見つけてはその都度買っていたんです。スワロフスキービーズを使ってアクセサリーを作ったら売れるのかしらと思い、書籍を見て自分なりに作ってみたのですが、ゆるくなったり切れたりするし、見た目にもあまり良くなくて。もっときちんとしたものを作りたくて、アヴァンセの梅沢知代先生の教室に通うことにしました。


―受講をしてみていかがでしたか。

もちろん技術が向上しました。もっと技術を磨きたい、あれもこれもできるようになりたいと思って受講を続けています。
講師養成の講座でしたが、最初は資格を取るつもりがなかったんです。商品として確かなものを作りたいだけでしたが、資格があれば買ってくださる方に安心してもらえるかもと思い直しました。ビーズアートステッチの認定資格を取得し、あとはジュエリークロッシェなども習っています。

また、梅沢先生が辛抱強く付き合ってくださるので続いていると思います。新しい技術には悪戦苦闘していますが、作品ができ上がったら楽しいです。ビーズを始めてから、外に出る機会やおしゃべりする機会が増え、脳トレにもなっていると思いました。


―特にどんな時に脳を使っていると感じられますか。

作りたい作品を作っている時ですね。色合わせを考えたり、どんな形にするか、どんな編み方にしたらできるかなどを考えるのは楽しいです。また、テキストやレシピを見て作るのはすごく脳を使うと思いました。一昨年と昨年に「窯元もみじまつり」で作品を販売した時も頭をフル回転させていたと思います。

▲ビーズアートステッチ認定講座教材作品より

 

作品を販売する経験を通して得た多くの学び

―「窯元もみじまつり」はどのようなお祭りでしょうか。

私の住んでいる地域には清水焼という陶器の窯元がたくさんあります。紅葉の季節になるとたくさんの観光客の方が近くの東福寺に来られるので、その流れで窯元の陶器も見てもらう「窯元もみじまつり」が30~40年くらい前から始まりました。街のあちこちがイベント会場になり、私の家の前もそれなりの人通りがあるので、お祭りの時に玄関前にお店を出すことを一つの目標にしました。


―どのような作品を販売されたのでしょうか。

2021年はビーズを習い始めて1年くらいだったので商品として売れるようなネックレスはあまり作れなくて、先生からいただいたレシピを参考にマスクコードを中心に作りました。それだけでは足りないので、梅沢先生のアヴァンセから商品をお借りして販売し、マスクコードはたくさん売れました。近所の方がたくさん来てくださって、商品を見たり、おしゃべりをしたり。ほとんど買ってくださったのは近所の方たちでした。

2022年には、お祭り自体も大々的に宣伝をして、コロナ前ほどではないですが、観光客の方が増えました。用意した作品も、ネックレス、ブレスレット、ブローチ、マスクコードなどたくさん作り、自分の作品に加えアヴァンセからも借りました。作った作品はほとんど売れましたね。

軒先に出した店の前は車一台が通れるくらいの道幅です。少し高さのある幅1m程の台に作品を並べると、通りの反対側からでも作品が目についたようで、通る女性が足を止めて、その多くの方が近づいて作品を見に来てくれました。

中には人が少なくなるのを辛抱強く待ってくださった方、3点も購入くださった方、お連れ様に勧めてくださった方、昨年も買われた方、来年も来ますと道順を確かめられた方、どれを購入するかたくさん迷われた方、一杯しゃべっていかれた方など、店先はだいたい賑わっていました。


―出店のために、梅沢先生からのアドバイスを活かされたそうですね。

1年目は道から少し奥まった玄関寄りに商品台を置いていたのですが、梅沢先生のアドバイスで、通行する方がより見やすいように道に面した軒先の階段に台を置くようにしました。その台も梅沢先生が段ボールで作ってくださって、大変嬉しかったし、驚きました。自分のことのように応援してくださるから、「頑張るぞ!」という気持ちになりますよね。
他にも、おつりの準備や、利益の上げ方、レイアウトの仕方、値段も買いやすくて管理がしやすい1000円、1500円、2000円にすると良いということも教えていただきました。

2年続けて出店できたのは、梅沢先生の励ましと、強力かつ絶妙なサポートのおかげです。時々やる気がなくなってきたなと思うと、間髪を入れずサポートが入るんですよ。おかげ様で経費を最小限にして利益を出すことができました。


―ご出店されたご感想をお伺いできますか。

とても疲れたけど面白かったし出店できて本当に良かったです。物を売るとはこういうことかと思いました。梅沢先生に助言いただいたことなどたくさん学びました。
また、自分が良いと思った商品が、必ずしもお客様も手に取るとは限らなくて、好みは人それぞれで面白いなと思いましたし、お気に入りの作品は売りたくないという気持ちにもなりました。友人たちとの交流も深くなってきたと感じています。出店をしてから、新しい価値観や物の見方、人間関係など、世界が広がったと思います。


▲「窯元もみじまつり」で軒先に出店



▲手作りしたマスクコード

 

交友関係が広がり、制作依頼も。充実した日々になった

―世界が広がったというのは、ご自身の中で何が変わったと思われますか。

「自分の作品が売れる」と思えるようになったことがあります。 また、外出してお店に入った時も運営する側の視点で観察するようになり、工夫している箇所を探すなどいろいろな発見がありました。世界を見る目が変わってきたのでしょう。

他にも、私は人とおしゃべりする時は聞くほうが多かったのですが、自分から話しかけることが増えました。ポジティブに考えられるようになったと思います。
何年も会ってなかった友達に声をかけてみたり、久しぶりに会ってもビーズの話題があれば話しやすくなりますし。今まで接点がなかった近所の方とも、ビーズや手芸をきっかけにお話できるようになりました。人に対する何かが深くなった感じです。

年を重ねると引きこもりがちになるとか、話す機会が少なくなるといわれますが、手作りを習って出店したら、話す機会も交友関係も増え、制作依頼もあって忙しくなってきました。70代になって、まだ世界を広げられるんだ、自分も変えられるんだと思いました。


―どのような制作依頼がありましたか。

メイン素材としてトンボ玉を持ち込まれネックレスの制作依頼がありました。とても難しかったです。その方の好みをどこまで作品に反映できるか悩みました。梅沢先生からも参考になる作品の画像を多数送っていただいて、とても勉強になりました。
マスクコードを作って欲しいという依頼や、出店した時に売り切れた作品をまた作って欲しいという依頼もあり、作ったものがそんなに気に入ってもらえるなんて嬉しいですよね。


―今後の目標をお伺いできますか。

昔も今も、目標はスワロフスキーにかけたお金を無駄にせず活かすことと、自分が作りたいものを自在に作ること。そしてそれらの方法を考えていくことです。
最後に、漠然としていますが、いつかビーズを介して交流や地域貢献、おしゃべり会などができたらいいなあと思っています。「ビーズバアバ教室」なんてどうでしょうかね(笑)。

▲ビーズアートステッチ認定講座教材作品より

Column

 

田邉様の心に残るキット

斜め巻き結びのフリンジバッグチャーム
(デザイン 瞳硝子、カラーデザイン監修 日柳佐貴子)

色がとろけるほど素敵だと思います。細かいビーズが散りばめられている感じがして、私もこのようにきれいな作品を作りたいと思いました。

輪編みのカボションペンダント~ゼーブル~
(デザイン ジュエリークロッシェ コスチュームジュエリーラボラトリー、技術監修 ジュエリークロッシェカリキュラム委員会 )

大きなカボションに馴染みがなかったので、カボションの周りを豪華な編み地で飾るデザインにびっくりしました。この作品に出会わなければ、自分では大きなカボションを使うことはなかっただろうと思います。作り方の幅が広がった作品です。

Message    先生からのメッセージ

 

田邉さんには商売人の気質がありました!
熱心に学ぶ田邉さんを応援したい

梅沢知代先生(アヴァンセ)

田邉さんは70歳になってから初めて短期講座のレッスンに来られました。多くの生徒さんを指導していて思うのですが、60歳を境に理解力と吸収力は大きく変わると思います。田邉さんは小学校の元教員で手芸クラブの顧問もされていたそうで、まったくの初心者ではないから短期でも大丈夫だろうと思いました。

レッスンが後半になるにつれて少し難しいところもありましたが、熱心に学び、レシピの図解もしっかり見て、宿題も確実にして来られるので、田邉さんなら大丈夫と確信を持てました。
手芸の経験値は50代を境に変わりますが、高齢の方でも手芸経験があり、宿題も真面目にコツコツと取り組む方は有望であることは間違いありません。
私は熱心に学ぶ方を応援したいので、田邉さんのための特別プランを用意し、体力と気力に負担がないよう2日間のコースを3日間にしました。その後も田邉さんは順調にジュエリークロッシェ、マクラメ、ソウタシエなど、いろいろなテクニックを学んでおられます。

「もみじまつり」の出店については、コロナ禍の年はお祭り自体がありませんでしたが、翌年には開催されることになったそうで、田邉さんの背中を押しました。
お祭りは出店料が高かったので「交渉してみたら?」とお話しし、プレゼンのために必要なサンプルや資料などをご用意しました。交渉上手な方なので、見事、ご自身の思う金額で出店を決められたそうです。

出店には経費をかけない方が上手くいくと思い、商品だけでなくディスプレイ道具等一式をお貸ししました。そのシステムはアヴァンセではいつもやっていることなので、田邉さんにも「気を遣わないで使ってください」と申し上げました。

ですが売れるかどうかは本人次第。お祭りが終わると、驚愕の売上を出されて「商売人の気質あるわー」とお話ししたように思います。
2年目の出店の時も、田邉さんがご自身で「玄関先の数段の階段が、一般の方には上りにくい」と気づかれてご相談がありました。お客様の目線に気づくということは「商売っ気」があるということ。商売は「お客様が喜ぶことをすること」が大事で、その時に「気づき」があるかどうかなんです。

また、自分から声をかけることや挨拶も大事です。普段から愛想が良いことも必要で、田邉さんはそれができる方でした。
田邉さんは70歳になってビーズを習いに来られましたが、同じ頃に犬も飼い始めたそうで、「犬友」ができ、犬友を通してビーズのPRもされています。そういった何気ない関係を築けるかどうかは商売にすごく通じるものがあります。

私はその気質がある方に、どうしたら良いかヒントを渡しているだけです。ヒントを得てどんどんチャレンジされるので、「人って凄いなー」と思っています。

私が70代になったら、田邉さんほど柔軟に物事をとらえてトライできるかどうか分からないなと思います。ビーズとビジネスでは田邉さんよりも先輩ですが、人生という意味では田邉さんは先輩であり尊敬できる人です。
だからこそ応援したいと思っていて、まずは80歳まで頑張っていただけるように、サポートしていきたいと思います。

私はもともと人材育成の仕事をしていました。アヴァンセを立ち上げた頃から「稼ぐ力を身につけてもらうこと」こそが、アヴァンセの人材育成だと思っているので、商売を徹底して教えることを続けています。自分の頭で考えて行動することで「結果を出す=利益を出す」につながります。教室業はその力を養える場所であり、その方法を教えることをアヴァンセの使命としています。


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