「織物の柄」というと難しく聞こえますが、男性のスーツやシャツの柄にはよく使われていますので、ご主人やお父さんのクローゼットを覗いてみればきっと見つかるはずです。女性ものにも多く使われていますので、もしかしたらご自分でも気付かずに持っているかも。ニットでは、アランセーターと呼ばれる生成りの手編みのセーターによく使われています。刺しゅうでも「ヘリンボーンステッチ」という同じ名前のステッチがあります。 皆さんはニシン(鰊)という魚にどんなイメージを持っていますか?身欠き鰊、鰊蕎麦もありますが、やはり一番は焼き魚で「鰊の開き」でしょうか。食べたことがない、という方は、「数の子の親」と言えばわかりますか?北海道の名産で、昭和30年までは日本海に鰊が押し寄せて鰊漁が栄えたことから「鰊御殿」といわれる番屋まで建てられたそうです。この頃できたのが「ソーラン節」 ♪ヤーレン ソーラン ソーラン ソーラン ソーラン ソーラン (ハイ、ハイ) にしん来たかと 鴎(かもめ)に問えば、わたしゃ立つ鳥 エ〜波に聞け チョイ ヤサエ エンヤンサーノ ドッコイショ ア ドッコイショ ドッコイショ♪ こうなるとかなり日本的な魚と思いきや、実はこの鰊はヨーロッパでもよく食べています。イギリスではサーモンと同じようにスモーク(燻製)して食べますし、フランスではマリネ(酢漬け)で食べています。以前「英国の伝統ニットを訪ねる旅」ということでイギリスを旅行したとき、ロンドンよりずっと北のヨークという町のホテルで、朝食に鰊の文化干しが出てきてびっくりしたことがあります。それはまさに日本で食べるそれとまったく同じで、これでご飯とお味噌汁があれば完璧な和朝食、と思いました。もちろん現地の皆さんはナイフとフォークを使ってパンと一緒に食べていましたが、ところ変っても、塩をつけて干して魚を保存するという知恵は同じなのだなあと感心したものです。 これでなぜ「ヘリンボーン」という言葉が、ヨーロッパの伝統工芸によく使われているかがお分かりいただけたことと思います。でも、これを読んでヘリンボーンステッチを見るたびに♪ヤーレン ソーラン ソーラン ソーラン ソーラン ソーラン (ハイ、ハイ)♪とならないように。ビーズステッチはあくまでも「貴婦人のアクセサリー」ですので。